イランの平パン、バルバリ|ちびオーブンで実験的試行錯誤
Iranian Barbari Bread with Sesame seeds, Nigella Black seeds and Poppy seeds
イランの平パン、バルバリ実験的試行錯誤|
昨年末、下記の興味深い記事を読んで、
「これは旨そう、ぜひとも食べてみたい!」となったのです。
だってイラン人のお店では大家族みんなで食べれるくらいの
超ロングサイズで売ってるんだって、すごいよねえ。
近場で買える店など無いので味も食感も分からないまま、
リコさんのレシピや、ネットの画像を手本に手探りで焼いてみました。
ricoberries.hatenablog.com
詳細なレシピは上記の記事で見てもらうとして、主な材料は
小麦粉+塩+黒砂糖+オリーブオイル+イースト+ぬるま湯
これに仕上げに黒ゴマをトッピングして焼き上げる。
白・黒ゴマの他にニゲラ(カロンジ/ブラックシード)、
ポピーシードも乗せて4枚焼いてみた。
これが、かなり好み。
場所により厚さや焼き上がりにムラがあるからバリっとした部分、
水分が程よく抜けた部分、中の柔らかさが残る部分と様々。
パン耳好きの私には、もってこいの皮を堪能するパンともいえる。
この味、確かにどんな料理にも合う。
気に入ったので欲が出ちゃった。
これの砂糖もオイルも使わないのはどんな味なんだろう?と。
調べてみたら色々な作り方があるのです。
焼き上げの温度も170℃~260℃と様々。
小麦粉+イースト+塩+水のシンプルなもの。
上記にベーキングパウダーを加えた生地もあった。
全粒粉+強力粉+イースト+塩+水とか。
配合はやや柔らかめが多いけど、中には捏ねるのが困難な程
ゆるゆるの生地あり、なんとも興味深い。
Roomal/Romal(日本語表記だとローマル/ロマール?)という
薄力粉+ベーキングソーダ+水を鍋で沸騰させて糊状にしたものを使う。
これを生地の仕上げに塗ると表面に程よい焼き色を付け、バリッとした
クラストを形成し、トッピングのシード類の接着剤の役目も果たす。
何せ本物を食べたことが無い。
なので取り敢えず気になったものをいくつか焼いてみることに。
ややゆるめの生地で、通常のパン生地のように捏ねず
発酵過程で、そっとたたみ直す程度にこまめに4回ガス抜き(パンチ)。
表面に部分的に薄っすらひび割れが入るくらい、しっかりした皮に。
中はもっと軽めの焼き上がりでもいいかなあ。
いつものツナカレーのお供に。
付け合せはビーツ&カブ、ジャガイモ、
里芋の三種類のサブジ(スパイス炒め)。←見た目一緒だけど味に違いがある
スパイスの絡んだ野菜をパンにはさんで食べると旨々。
全粒粉+強力粉のすごーーくゆるい生地にRomalをたっぷり塗って焼くタイプ。
表面はガリッと、中は厚みのある部分がややもっちり食感。
モグモグと噛みしめる系のパンです。
大粒の牡蠣とタマネギ、ベシャメルだけのシンプルなグラタンと一緒に。
全粒粉+中力粉の柔らかめの生地を少ないイーストでゆっくり発酵させる。
Romalは刷毛で程々に塗る。
焼き上げる温度は低め、なので焼き色は浅め。
両手で左右にそーーっと引っ張って伸ばす成形だから
なんだかワイルドさが滲むルックス。
途中で用事が入り放置して過発酵になってしまった生地は
食べやすいサイズにカットして揚げてみた。
これもかなり美味しい。
このパン、きちきちっと作るとカッコ悪いのです。
毎日食事と一緒に気軽に食べるカジュアルなパンだから
手作業で、ちょっと遊びのあるゆらいだライン、
あえて無造作なのがカッコイイの。けど無造作って案外難しい。
サクサク、ギュッギュッ、パパパパ、サササササーって感じで
流れ作業で作るのが正解なんだと思う。←意味分かんないよね
4回作ってみて改めて分かる。
最初に作ったリコさんのレシピはうまく出来てるなあ、って。
普段パンを焼き慣れていない私でも失敗無しに焼きあがる。
仮にちょっとぐらい失敗しても、焼き立てなら
そんなの吹き飛ぶくらい美味しいはず。
好みの味がだいぶ固まって来たから、後はそこを目指して
何度も焼いてデータの蓄積とパン焼きの腕を上げるしかない。
もしも大失敗生地になっちゃったらチーズ乗せてピザ生地に使うか、
細長くカットしてグリッシーニみたいに焼くのもいい。
小さく切ってドライフルーツや甘いあんこでも詰めて
良い色に揚げちゃえば、素敵なおやつにもなる。
バルバリは朝ごはんに食べるパンのひとつなんだって。
だからイランのパン屋さんは、うんと暗いうちからパン焼き作業開始。
大変だけどお客さんの朝の食卓を担う責任重大な仕事。
焼き上がりのまだ温かい巨大なバルバリを抱えて
家へ戻る時の気分はどんなだろう。
一日がこのパンで始まる日々の暮らしは
どんな景色やニオイがするんだろう。
そんなことを考えるのが好きなのです。
ところで、うちのオーブンは小さい。
未だかつてオーブンと見抜いた人は居ない。
「え、トースターでパン焼くの?膨らむ?」
と心配されるけど、よく見て。
扉にはこっそりコンベクションオーブンと書いてあるでしょ。
幅は26cm、高さも12cmしかないから
パウンドケーキ焼くと頭つかえて火が出るけどね。
小さいパンなら、まあ 頑張れば焼けるのよ。
正直、大きなオーブンが有ったらいいな、と憧れる。←どこに置くんだって話
でもね、たまーに上手くいくこともあるのですよ。
そうすると、ちびオーブンやるじゃん!って愛着も湧く。
以前、パン教室に二年通っているという知り合いに
パン生地のことを質問したら、
「バゲットはまだ焼いた事が無いから分からない」
と言われてびっくり。
ハード系のパンを焼きたいなら、オーブンも300℃位で
そこそこ機能が無いとダメだと言われたのです。
彼女はパン教室経由で購入した大きなガスオーブンや←お値段ちびオーブン×20個分!
高機能ニーダー(パン捏ね機)が自慢だったから
焼いてみたくないのかと聞くと、こう言われた。
「基礎からしっかり技術を身に着けていかないとダメなのよ」
えっ、私 自分が食べたい物、無謀にチャレンジしちゃってるけど。
「あー、そういうのホントは良くないんだよね」
そうなんだ。
(パン焼き3回目でベーコンエピ、7回目でバゲット焼いたなんて
こりゃ、口が裂けても言えないねえ)
でも大丈夫、基礎無くてもたまにまぐれで美味しいの出来るし
食べたいパンだけ4、5種類焼ければいいんだもん。
やってみないと身につかない実践派なの。←呆れ顔された
腹ペコさんには
「お金持ちだったら、大きいオーブン買ってあげたい」
と言われ、マーちゃんには
「私はコの字型の広いシステムキッチンを」
ふーちゃんは
「じゃあ、あたしは広い畑を!」
ありがとう、ありがとう。
皆がお金持ちになるその日まで、このちびオーブンで
バルバリ修行、ゆるりとがんばります(笑)
きりたんぽ鍋のお楽しみ|柚子と胡桃の味噌たんぽ
Miso Tanpo, Yuzu and Kurumi|Toasted Rice stick with flavory Miso
味噌たんぽ 柚子&胡桃|
きりたんぽ鍋を作る時、お腹が空いたと騒ぐ腹ペコさんに
一時しのぎ的に熱々の味噌たんぽを出したのが最初。
以来、当然のようにセットメニューとして作ることになる。
鍋に使う柚子果汁を絞る前に香りの良い柚子皮をすりおろす。
それを使った柚子味噌や胡桃味噌、青山椒味噌なんかを用意して
小さめに焼き上げたたんぽに乗せるのです。
きりたんぽの本場、秋田ではまんべんなく味噌を周囲に塗るタイプが多い。
味噌を塗ってから少し焼くと、焦げた味噌の良い香り。
これも捨てがたいんだけど、私は程よく焼けたごはん部分と
味噌が別々に楽しめるのが好き。
だから乗せる味噌もちょっとぽってりと仕上げて
焼き上がりのたんぽにぽてぽてと厚目に塗る。
きりたんぽ鍋を作っている間、熱々の焼きたてを
頬張りながら、お箸や取り皿の用意。
腹ペコさんはもぐもぐ食べながら言う。
「んー、二本か。柚子も胡桃もいいんだけどさ、
山椒味噌もいいよねー山椒味噌で食べたいなあ。
あと、そば茶もちょうだい」
むっ。うちはたんぽ茶屋じゃないのですよ。
それに三本も食べたら、お腹ふくれて
きりたんぽ鍋がいっぱい食べられなくなっちゃうんだから。
「でも、山椒味噌おぉぉーーー」
あー、うるさいですよう。
じゃ、次回作るからそれでいい?←次回はいつ?と子供のような追求
腹ペコさんの中で以前は「味噌たんぽか」って扱いだったのに
最近はかなり重要なポジションに格上げされてきたらしい。
まあ、作りたてのたんぽは格別だから気持ちは分かる。
半殺しにして塩水浴びせて、棒にくくりつけて
焼きを入れただけなんだけどね。←とても聞こえが悪いたんぽの作り方
(※固めに炊きあげたごはんをすりこ木で潰す時に
忘れず唱える言葉が『ハンゴロシ…。ハンゴロシ…』旨いたんぽの秘訣)
これ、きりたんぽ鍋作って、もしも
味噌たんぽが無かったら腹ペコさん、大騒ぎするんだろうなあ。
手作りたんぽ&地鶏ガラの旨味スープ|きりたんぽ鍋
Kiritanpo nabe|Chicken and vegetable stew with Kiritanpo
手作りたんぽ&地鶏ガラの旨味スープ|きりたんぽ鍋
秋田県とは縁もゆかりもない私ですが、何故かきりたんぽ鍋が好き。
寒い時期は材料が揃ったら(揃わなくても無理やり)
自家製のきりたんぽを入れて、鶏とキノコの出汁が効いた
野菜たっぷりの温まる鍋にすることが多いのです。
きりたんぽ鍋を構成してるのは
・比内地鶏丸ごとのスープ(鶏のガラ、レバーやキンカンも全部使う)
・ゴボウ、長ネギ、セリの風味(セリは風味が強い根も使う)
・舞茸、キノコの旨み
・糸コンニャク
・みりん、塩、酒、醤油、柚子果汁
・あきたこまちのきりたんぽ
だけど、これを全部揃えるのは大変。予算的にもアレですし…。
うちの近所で買えるのは、はかた地どり・阿波尾鶏くらい。(部位別で切り身)
だから地鶏の鶏ガラと手羽先とか、銘柄鶏の骨付きモモ肉を使います。
比内地鶏まるごと使って出汁を取る本場の味には遠く及ばないけど
予算内で近場で手に入る材料を使って、
一番美味しいきりたんぽ鍋にするべく尽力を惜しまない。って言い過ぎ。
でもね、焼きたてのたんぽに、地鶏ガラスープ使って
うちで作る美味しいみりん風調味料をたっぷり加えたら
なかなか旨いきりたんぽ鍋になるのですよ。
↑この日は阿波尾鶏ガラと霧島鶏。舞茸が買えなくてシメジ。
大雑把な作り方|
まずは阿波尾鶏のガラでスープを取ります。
圧力鍋で10分加熱。
旨味の強い脂が浮いたら、鶏ガラを引き上げて身を外す。←サラダや炒め物に使う
固めに炊きあげたごはんを熱いうちにすりこ木で潰す。
その時唱える「ハンゴロシ…。ハンゴロシ…」
『ハンゴロシ』とは、ちょっと物騒だけど
全部やっつけないで米粒の形が少し残るくらいに仕上げる
という美味しいたんぽのコツ。
↓
そしたら、温かいうちにすぐにたんぽ串に付けていく。
濃い目の塩水を用意して手に付けながら作業する。
時間が有る時はサーキュレーターの風で表面を少し乾燥させてから
ガスコンロの魚グリルで焼く。 ↑焼きアミにくっつかず表面がバリっと焼ける
(焼き上がりもサーキュレーターで素早く粗熱を取って串から外しやすくする)
↓
鍋にスープを入れて沸騰したらゴボウ、鶏の順で加えて
鶏に火が通ったら糸コンニャク、長ネギ、キノコの順に投入。
食べる直前に柚子果汁、醤油を加えて味の仕上げ。
セリをふわっと入れて、きりたんぽをサッと乗せて出来上がり。
※うちで気をつけてること
出来るだけ脂の美味しい鶏を使う。
キノコは舞茸が一番だけど、無ければしめじやひらたけ、たもぎ茸。
ぬめりの強いキノコ、椎茸や干し椎茸は風味が合わないので使わない。
醤油は仕上げに軽く色付け程度にちょろりと。
ゴボウは基本ささがきだけど、細めのゴボウは皮も薄く
柔らかいから2、3mm厚のスライス。
セリやたんぽは仕上げに乗せて、鶏とゴボウ以外はあまり煮込まない。
セリはどっさり入れたいから、一人ひと束。
手に入らない時はスープセロリやホワイトセロリを使う。
「スープ、すごいウマーーイ!
このきりたんぽをスープにちょっと沈めるとさ
串の穴に入ってくでしょ。鶏の脂とダシの効いた塩気を
キューッと吸い込んだとこを食べるのが最高。この穴が大事」
味噌たんぽで多少満たされてるせいか、腹ペコさんがよく喋る。
ごはんをつぶし過ぎちゃうと、ここでいい感じにスープを吸えないし
逆につぶし足りないと、スープ吸ってバラっとほぐれちゃう。
「たんぽ、エライよねー。ごはん潰して焼いただけなのに。
前に食べたナマハゲ鍋も旨かったなあ。また獅子頭鍋作ってよ」
豚バラブロック肉が安く買えたらね。
それかお店の一人前みたいに巨大肉団子一個はどう?
「それじゃタンコブ鍋じゃん、却下!」
えー、タンコブ鍋 おマヌケで良いのになあ。
で、鶏ガラや野菜でとっても良いダシが出てるから
きりたんぽ鍋の翌日は煮干しの香味オイルを追加して、
醤油味の鶏チャーシュー麺で楽しみました。
今季も既に何度も作ってるけど、寒いうちに
いっぱい食べておきたい、きりたんぽ鍋なのです。
今日は猫の日だったのよね。ま、うちは毎日が猫の日ですけど。フフフ
↓こっちの《たんぽ》はニャンコに買おうかと思案中。歳なのでね、冷えは禁物!