冬はちょっと濃い味の鰤大根|香り良く仕上げるヒント&翌日の煮卵

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Buri Daikon|Simmered Yellowtail with Daikon radish

冬はちょっと濃い味の鰤大根|香り良く仕上げるヒント

鮮魚売場が充実したスーパーの片隅に置いてある大きなクーラーボックス。
フタを開けるとその日の魚のアラがパック詰めされて入っている宝箱。

うちで作るカレーや煮物には安くて脂が多いアラは大活躍。
魚のアラは骨やウロコ、臭みがあったりで下処理が必要。
その手間の分、お安いのだ。

年末の買い出しで賑わうその日、
一足先にクーラーボックスを覗いてきた腹ペコさんが言う。

ねえねえ、今日のボックスってばゲイバーみたい。
…あっ、分かった。カマばっかり。
当ったり~

見ると、本当にカマカマカマカマカマだらけ。
特売で山積みだったブリの切り身、そのアラが大量に出た所だったらしい。

カマも旨いが探してるのはいろんな部位のアラパック。
カマの山をかき分け探すと少し下の方にあった。
ずっしり重くて300円。
しかもかなり厚切りが入ってる、これは嬉しい。

鰤大根だよねえ。
寒い季節はちょっと濃い目の味付けの鰤大根が恋しくなるってものよ。

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鰤大根の美味しさは、しっかり味の染みた透明感の有る大根と
香り良くふっくらと炊き上がったブリの身の旨み。

栄養豊富な血合いや脂の乗った腹側、
大きな骨の際で旨味のあるカマの部分といったように
切り身には無い部位ごとの美味しさがあるのだ。
それらと共に煮込んでプルプルになった皮の旨さも捨てがたい。

美味しい鰤大根のためなら、アラの下処理も鼻歌まじり。

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魚の臭み消しにはいくつか方法がある。
化学的にニオイの物質を変化させ薄めたり、醤油や酒・生姜といった
香りの強いものを同時に煮込んで良い匂いを上からかぶせてしまう方法。

豚肉や卵の紅茶煮、プーアール茶煮は
素材を柔らかくしたり、抽出液の色味を利用する。
でもニオイの軽減もあると思う。消臭効果ならば緑茶か。
調べてみたら緑茶で魚の生臭み軽減効果のデータがあった。

面白いなと思い、自分でも官能検査で試してみたら
かなり臭いが減ったのです。
ブリの鍋に煮出し緑茶を加えると瞬時にニオイが変化。
生臭さが減って緑茶の香りが混じる。
しばらく加熱すると緑茶の香りは飛び、
お茶の苦味やエグみも感じなくなった。

緑茶には旨味を感じるテアニンやグルタミン酸といった
アミノ酸類も入っている。

煮出し緑茶は高温の方が香りも立つし、カテキン類が出てくるそう。
なので水からではなく、熱湯にパック詰めした茶葉を入れて煮出す。

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Tips
うちで作る鰤大根のポイントは4つ。
・ブリの臭み消しに煮出し緑茶を使う
・大根は皮付きのまま、ブリとは別鍋で薄味で下煮
・ブリのアラの下煮の際はみりんをたっぷり使う
・仕上げに別鍋で煮詰め、カラメルシロップを加えたタレを絡める

煮詰めたタレを使うのは塩辛さの調整も兼ねてる。
全部の煮汁を煮詰めてしまうと出来たてはちょうど良いけど
一晩置くと味が濃くなりすぎる。
煮汁とタレが別立てだと、翌日の温め直しも美味しい。
(うちには電子レンジが無いので鍋で再加熱なのです)


大根とブリでは煮込みのゴールの時間差があるから、
長く煮込む大根を薄味で下煮して程よい固さに。
途中でブリと合わせ、醤油を足すことで大根の中まで味が染み、
煮詰めたタレでツヤのある食欲をそそる仕上がりに。

ブリの鍋にはみりんをドバっと。
こういう時にケチらずたっぷり使えるよう、
家で加塩みりんを作ってるのだもん。

カラメルシロップはまとめて作ってビンで保存してある。
常温で半年程度はもつので作り置きが便利。

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ごはん、炊けたよ。
はー、大根ウマ~い。ブリがふっくらで味が染みてる。 
煮魚がパサパサしてるのは不味いから嫌なんだ。

うん、分かる。
みりんたっぷりで炊くといい具合だよねえ。
良いアラが買えて良かった。
腹ペコさんはごはんの上に置いた大き目のブリを
箸で少しほぐし、そこへタレをかけてからごはんと共に口に運ぶ。

このタレの旨いこと!
赤蕪漬けも口直しにぴったり。 ←他にトマトや春雨サラダ、塩味のスープ
あ、大根は明日カラシ付けて、おでんみたいに食べるからね。

じゃあタレで煮卵も作っておく。
オー、それはスバラシイ!!

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で、翌日作った煮卵がこちら。
旨味がたっぷり出たタレを絡めるだけの他力本願料理。

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緑茶ポリフェノール、緑茶カテキンの他にもタンニンやその他、
香気成分も作用してるのかな。色々と効果がありそう。
緑茶・烏龍茶・紅茶といった製法で含まれる成分バランスも違うので
試しに烏龍茶でマグロの血合いブロックの湯引きをしたら
同様にニオイの軽減があったのです。

今度番茶を買ったら試してみよう。
安いお茶の方が気兼ねなく使えるもんね。

参考文献:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1951/31/2/31_2_88/_article/-char/ja/
煮魚の骨の軟化とにおいにおよぼす茶煎汁の影響
魚を茶煎汁で煮ると骨が軟かくなり、生臭いニオイの素となる
アミン類の減少が認められたとのこと。

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