kingyo|キンギョのキモチ

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Chopstick Rest, Goldfish|Royal Selangor


ずっと前にもらって大事にしているピューターの箸置き。
この金魚のフォルムは、オランダシシガシラ(日本オランダ)かなあ。


金魚は一見優雅だけど、その一生は なかなか過酷。
掛け合わせや数度の選別をくぐり抜けて
ほんの一握り、生き残ることを許可された泳ぐ芸術品。

世話する人が居なければ生きていけないくらい
本来の形からは、かけ離れた生き物。

体型、尾びれの改良だけでなく幼い頃にウロコを剥いだり
酢酸をかけて、人工的に模様付けされるのもいるんだって。
人間なら、刺青か美容整形かな。

それを非道と取るのか、芸術と取るのか。
見る立ち位置によって、まったく違った受け取り方になる。


華やかで力強さのある土佐錦トサキン。
実は戦災と震災で、一度は姿を消したと思われたのが
たった6匹の生き残りからの復興金魚なのだそう。

金魚にも、いろんな歴史があるんだね。

熱帯魚ショップで小赤と呼ばれ、
肉食大型魚のエサとして売られてる小さな金魚たち。

その中に時折、選別で振り落とされた売り物にならない
カラフルなキャリコやデメキンが混じっていたりするのね。
分かってはいるけど、物悲しい。


そんな過酷な運命の生き物だからこそ
大切に、愛されなきゃいけないと思うのですよ。

でもね、速く泳ぐための機能は奪われた金魚だけど
塩耐性は高くて、淡水魚ながら塩水でもしばらくは大丈夫。

はかなげに見えて、その実打たれ強さも秘めてる
古い時代の、後宮のきらびやかな女性たちのようでもあります。

そんなしたたかさも
食べられるより、愛でられる運命の
きっかけだったのかもしれませんね。

ランチュウの赤ちゃん、青子はフナみたいに薄墨色だった。
成長と共に朱赤、紅色に美しく色が揚がるのだそう。

日焼けして真っ黒だった女の子が
赤い唇した色白美人に成長するみたいな?
そんなところも、神秘的。

「ビン張頭(びんばりがしら)」とか、「かんざし」「くちべに」
「すそさばき」とか、用語も芸者さんっぽい。

なのに、品評会の順位は「大関横綱」と
相撲のような番付に。(えっと品格、風格ですかね)
10月から11月の晩秋はランチュウが最も映える季節なんですって。

あ、私ですか?
江戸錦エドニシキが好き。
東錦アズマニシキも、蘭鋳ランチュウも。
もちろん土佐錦も! ああ、選べないっ

フグやナマズ、キンギョも含めて
丸みが有る、ぽにゃっとした体型に弱いのです。←親近感?

そんな訳でうちにある金魚小物を少し出してみました。

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こちらは、訪問着用の夏帯。
最近は着物を着る機会も無く、箪笥で眠ったままという勿体無い状態。
でも、枯れたおばあちゃんがこんな帯を締めてたらチャーミングじゃない?

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こちらは普段着用の夏帯。
子供が描いたような大胆な構図で優しげな顔の金魚が5匹。 

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三足のぐい呑。
金魚たちが何やら楽しげに噂話に花を咲かせてる様子。

甘めな日本酒や蜂蜜みたいな白ワイン。梅酒、桂花陳酒といった
リキュールのような少し濃度のあるお酒には、
こういう口縁が少し反ったのが唇の当たりが良くて好き。

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中国茶用のお湯を受ける茶船として使用。
蓮の葉モチーフ以外は色味も質感も合ってないんだけど
乗せてみれば案外しっくり。

茶壺は待ち合わせの時間つぶしに立ち寄った新宿の花園神社骨董市で。
もうそろそろ時間、という帰り際に目について
「気に入ったけど、この金額でダメなら要らない」
と、店主を困らせつつも交渉時間3分ほどで安く購入。
「大事に使うね!」と言ったらニコッとしてた。多分適正価格。

高級品じゃないけど、気立てが良さそうなケロの表情が気に入ってる。
だいぶ使い込んだから、いい感じに艶が出てきた。

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中国茶蓋碗。美形ではないけど動きのある金魚がいっぱい。
たまに料理の器としても活用。
薄いので腹ペコさんは洗うのを嫌がる(笑)

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酒器のようなフォルムのティーセット。
黒目がちでキュートな金魚がポットとカップに全部で10匹。
紅の濃淡がとにかく美しい。注いだお茶の色が映える器なのです。

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大雪の降る日にお腹に抱えてパンプスで坂道を登り持ち帰った
おとぼけ顔で微笑む手描きのランチュウ。腹側は躍動感(!)のある描写。
胴はおおらかな図柄なのに、見込みには面相筆で龍が描かれてる。
どんな人が絵付けしたんだろうねえ。

お宝煮やがんもどき、厚揚げ大根におでんといった庶民的な煮物がしっくり。
あと、どんと盛ったチャプチェなんかも似合うのよ。

大きな地震が来るといつも思うのです。
しまい込んだまま地震で割れちゃうより、いっぱい使って擦過傷作ろうって。
散々使って、うっかり割るなら諦めも付くものね。

 


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小さいサイズも出てるけど、ぜひこちらのずっしり重いハードカバーで。

きんぎょ

きんぎょ

 

 

 

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