鯰の季節

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古染付写 鯰形向付 福西雅之 by Masayuki Fukunishi
The replica of the Blue and White ceramics of old China porcelain style,
Catfish shaped Mukouzuke for Kaiseki cuisine 


ナマズの季語は夏、仲夏
旧暦5月のことで、現在の時期は
6月6日頃~7月6日頃、七夕前の梅雨時になります。

その時期はちょうどナマズ達の年に一度のお祭りがある。
夜になると何匹も集まって川を遡り小川の浅瀬で産卵するのです。
ぷっくりしたお腹にいっぱい卵を抱えて浅瀬へ向かうのは
鱗の無い柔らかな皮膚が傷だらけに成る程、けっこうな大仕事のはず。
ナマズ達が一番エネルギッシュな季節です。

そんなナマズの姿を模った向付。
元々は中国・明代の古染付で、それを日本の陶工達が
型取りしたといいます。魯山人もそのひとり。

作られた当時も型破りなデザインだったろうと思うけれど
今見ても、ユーモラスでとても斬新でおもしろい、味のあるフォルム。
表だけでなく裏にも顔があって、横腹には洒脱な花模様
と実に遊び心あふれた作り。
5つの器それぞれ、顔もシェイプも違います。
ぷっくりグラマーなのと優しげな顔つきのはメスかな、とか。
気難しそうなの、気弱なの、と性格も想像できそう。

先月、我が家のナマズ達の生みの親である
福西雅之さんの作陶展が渋谷でありました。
私がこの向付を手にしてから何年も過ぎたけど、ずっと作り続けている。
ナマズ達の兄妹が全国に何十、何百といるワケです。
福西さん以外にも鯰の向付を作る作家は幾人もいるから
時代にかかわらず人を惹きつける器なんでしょう。

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ぬるりぬるり、匍匐前進中



私は以前、小型ナマズを数匹飼っていて、そのフォルムや質感、
愛嬌のある顔つきに似合わぬ知能の高さといった多面性に魅了されたのです。
それからナマズの小物があると買い求めるように。

江戸時代の鯰絵も好き。
あれって安政の大地震の後、お守りやおまじないグッズとして
大流行したのだそう。中にはナマズが人の姿になって、被災した人を
助けだす絵もあって、ナマズが身近な生き物だった様がうかがえます。
日本の昔話でも神様が地震が来る前に、ナマズに知らせに来るよう
たのむというお話しがありました。

ナマズって良い奴。

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5客のうち、一番のお気に入りはこの大きなホクロ付きのもの。
一番のおデブちん、いえ グラマーなこの子。モンローと呼ばれてます。
一番チャーミングですからね。
見て、この違い。↓ 絶対お腹に卵入ってるでしょ!

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まさか向付も、モンロー呼ばわりされるとは思うまい。

 

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