桃報春|春を報せる。毛毛と毛と金毫とモウモウ

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桃報春|Flat Peach shaped Yixing Zisha Duan Clay Teapot

桃報春|春を報せる

民国時代の大家・朱可心が1970年代初頭に梅・竹・柏・松・桃等、
シリーズで作成した茶壺・「報春」は、伝統的なデザインを周到しながらも
モダンなスタイルを構築。70歳を過ぎて尚、湧き出るような制作意欲。
40年以上経過したそのスタイルは古典の顔となり、当代の作家にも
多く継承されていて目にする機会が多いのです。

茶壺に詳しくない私でも、あっあれもそうだったんだ、という程で、
葡萄の蔓を走り回る2cm足らずの愛らしいリス達の茶壺・
「松鼠葡萄壺」も遊び心があって画像を眺めるだけで、自然にふふっとなる。

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私の手元に有るのは何道洪の写し作品の写し、というかレプリカ。
取っ手の付いた小さなカップとソーサーの4客セット。
茶壺には小さな桃が全部で六個。桃はほんのりピンクに染められている。
蓋の装飾は可愛いだけじゃなく、指を置いてもアチチとならない。
熱い蓋が苦手な私には大助かり。

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お茶のお供にはやっぱり茶菓子。練り切りに和三盆糖干菓子。
お正月なのでおめでたい鶴亀・薬玉・梅の花

そろそろ梅の便りが届く頃。
中国の茶器販売サイトの梅報春のページで目にした
毛沢東「只だ春の来たるを報ずるのみ」と詠んだ詠梅のお話を。

只だ春の来たるを報ずるのみ

陸游詩詞 詩詞世界 碇豊長の詩詞 漢詩

人知れず美しく咲き春を告げる梅の花に自分の身を重ね
花びらが散り土に還っても梅の香りは元のまま残るのだよ、と
落ちぶれ果てても高潔さ、誇りを失わずにいたいという
哀しくも男の気概を感じる陸游の詩。

これを読んで「私は違うよ」と毛沢東が詠んだ同名の卜算子 詠梅。

詩詞世界 碇豊長の漢詩 毛沢東詩詞 詠梅

陸游の梅を詠める詞を讀(よ)み,其の意に反して之を用ふ

風雨 春の帰るを送り、
飛雪 春の到るを迎かふ。 
已(すで)に是(これ) 懸崖 百丈の冰(つらら)なるに, 
猶(な)ほも花の枝の俏(うつくし)き有り

俏くとも 春を争はず,
只だ春の来たるを報ずるのみ。

山花 爛漫の時を 待ち到らば,
她(かのじょ) 叢中(くさむら)に在りて 笑(ほほゑ)まん。


国家主席を辞任した後の60代後半、文化大革命の前に詠まれた。
毛沢東にとっての春は、自らの思想の実現した世界のよう。

表面上は、草むらに凛と咲き、春を告げる梅の花の気高さを詠い
その実、このままで終わるものかという野心と理想世界への渇望が
黄巣の『詠菊』からの詞意を活用している辺りに見え隠れ。
「争わず」「笑まん」とか敢えて使う辺りが…やっぱり、ねえ。

菊を 詠ず

待ち到る  秋來  九月 八,
我が花 開きし後  百花 殺(おとろ)ふ。
衝天の 香陣  長安に 透(とほ)り,
滿城 盡(ことごと)く 帶(お)ぶ  黄金の甲を。

黄巣 詠菊 詩詞世界 碇豊長の詩詞 碧血の詩篇 漢詩 huangchao

その黄巣という人物がキョーレツなのだ。
唐代後期、科挙に落ちまくった黄巣。
重陽節句で飾られた菊に自らを投影して、
菊が咲き誇る時(←黄巣は黄色い菊なの)
他の花々(科挙に受かった宮廷の高官達)を
抹殺してやる、という凄まじい内容の詞を詠む。

政治の腐敗許すまじ、と大義名分を掲げながら
要所要所から溢れ出ちゃう逆恨み成分。

この後、黄巣は反乱軍を率いて長安を陥落し
束の間ながらも、国を建て皇帝を名乗るまでに上り詰める。

『題菊花(菊花に題す)』では自分が権力を手にしたら
寒さに震える菊の花を春に咲く桃と一緒に花開かせてやる、
という天下取り、謀反の詞も詠んでますね。

たとえ科挙に合格したとしても宮廷内で妬み僻み嫉みだったかも。
負の感情全てを燃料に変えられる人なんでしょう。

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毛沢東が詠んだ梅の花は何色だったのか。
最初は純粋な理想をぱんぱんに詰め込んだ白梅だったのかもしれない。
そのために地中深く根を張り巡らせ、必要な場所まで枝を伸ばし
花開くその時まであらゆる力を蓄えた。

でも、あまりにも血が流れ過ぎた。
だくだくと流れた血を吸い上げて、ぼってりと重く膨らむ蕾。
梅の花は権力への執着と共に濃く紅く色付いていく。

その梅の花は、はたして美しく見えるのか否か。

各々の梅の樹ごとに、待ち望み想い描く春は違う。
権力が絡んだそれぞれの理想の世界=春は相容れないのだ。

反乱軍の武将から一転、黄巣の軍を攻撃。
その後、後梁を建国する朱全忠と、
毛沢東を支持するも対立、二度失脚し
その後実権を手にする鄧小平。この二人の姿が重なるのです。

朱可心が報春シリーズを作成するのは
毛沢東の詠梅から10年ほど後のこと。

雲南金毫紅茶|滇紅

うちの孫レプリカ桃報春、500mlと茶壺としては
大きめサイズで暖房の無いリビングでもお茶が冷めにくい。
六個も付いてる桃の実は不老不死の仙果、魔除け・厄除けのシンボル。
仙女・西王母は誕生日の3月3日に天界の長寿の桃を食べるそう。
それを食い散らかして叱られたのが孫悟空という、
色々なお話に繋がるのです。

ちなみに桃の語源は毛毛Maomao。産毛がいっぱいの実だから。
マオマオ→→モウモウ→→モモ。何か可愛らしいんですけど。

そんな茶壺で淹れたのは、お茶屋さん福袋おすそ分けの
雲南金毫紅茶(うんなんきんもう)←別名:滇紅(てんこう)
産毛いっぱいの茶葉、金毫(ゴールデンチップ)入りでモウモウなのだ。

桃のモウモウ、毛沢東のモウ、金毫のモウモウ。
ついでに寒いリビングでは湯沸かしポットが湯気モウモウ。
モウモウばっかりじゃないですか、もう(笑)

私の春は只々、穏やかに過ぎ去るものであって欲しい。

引用及び参照元

www5a.biglobe.ne.jp朱可心の作品はこちらに幾つか画像があります
紫砂一代宗師 朱可心年表|

https://kknews.cc/collect/b926gn.html

こんな年越し&新年でした|お蕎麦・お雑煮・黒米雑穀稲荷寿司・キムパ・ラム肉食べ比べプレート

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Toshikoshi soba|Japanese Year end buckwheat noodles

年越し蕎麦

2018年に向けての年越しの準備。
厚削りの荒節で出汁を取り、予め寝かせておいたかえしに加えて
年越し用にちょっとだけ特別な蕎麦ツユを用意。

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ワインとビールが有ると伝えたけど、腹ペコさんは
「純米のにごり酒が飲みたい」と言い、お刺身と海老の天ぷらも買ってきた。
海老の天ぷらの温め直しと共に小茄子や大葉の野菜天ぷらを薄い衣でさっと揚げる。

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Fried Tofu pouch filled with Black rice and Mixed grains Sushi rice

黒米雑穀稲荷寿司|赤い酢飯のおいなりさん

食べ切れる程度のおせち料理を何品か作り、
いつもの赤いごはんの稲荷寿司。
キムパ(韓国海苔巻き)は各自の取皿に白ゴマを敷き詰めて、
胡麻を付けながら食べるスタイル。

揚げ餅のお雑煮や甘栗入りの信田餅、お汁粉、安倍川餅に磯辺焼きと
お餅料理も一通り楽しみました。

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飾り切りで余った野菜は細かく刻んで、松の実やこぼれ梅(準みりん粕)
と一緒にキムチ用の真っ赤な薬念(ヤンニョム)に混ぜ込む。
(大根、蕪、人参、ニラ、ネギ、生姜とか何でもOK)

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出汁を取った残りの厚削りの鰹節はカリカリに乾燥させて、
煮干しの骨と頭はオイルで香り良く揚げて油を切り、
猫足昆布、自家製黒豆豆チと一緒にグラインダーでふりかけに。
ごはんに乗せて食べる時に胡麻を加えると更に旨い。

芳ばしい香りが移った煮干しオイルは濾過して冷蔵庫へ。
これは鶏ガラスープで作るラーメンの仕上げに加えたり、
鍋や雑炊に加えると風味が増してすごく美味しくなるのです。

煮干しの身は水を注いだボトルに入れて冷蔵庫で水出汁に。
解体はちょっと手間だけど、こういう地味作業が滋味の素なのだ。

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ベトナム漆のプレートの上に敷いたナプキンは麻の白生地を染色。
パープルの方はマゼンタでごく淡く先染めしてから、パープルで重ね染め。
麻のシャリ感と僅かな光沢、光の加減で色合いが違って見える。

イエローグリーンの方はターメリック鬱金)で先染めしてから
化学染料で数回染めたので明るい色合いながらも深みがある。

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ラム肉三部位食べ比べ|ローズマリーとベリーのソース

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Lamb Tenderloin, Rump and Rack steaks with Rosemary, Mixed Berry and Red wine glaze

正月三が日を過ぎると腹ペコさんが「お肉、お肉」と言い出したので
ラムチョップ・フィレ・ランプで部位別の食べ比べプレートに。
ソースは腹ペコさんお気に入りのベリーソースに
アクセントでフレッシュなローズマリーの香りを。

そして、雑穀ごはんに糠漬け、厚焼き玉子に具だくさんの味噌汁
といったいつものごはんに落ち着くのです。

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こんな年越し&お正月でした。

小正月にお正月|揚げ餅のみぞれ椀

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Ozōni|Japanese Rice cake New Year soup Age-mochi style

お雑煮|揚げ餅のみぞれ椀

黄金色に揚げた餅、金時人参+大根+柚子皮で仕立てた水引、
銀杏、大黒本しめじ、蒲鉾で作った松葉。
たっぷりの大根おろしは小鬼の雪だるま。
角に見立てた生姜をちょこんと乗せる。

ピンクの梅の花はあやめ雪蕪の皮目部分を使用、
身の部分は紫キャベツで青紫色に染めて白梅に。
首大根のグリーンの部分も抜き型で雪輪文様に。

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昆布と鰹節で濃いめに仕上げたダシ、風味付けの醤油。
出汁を張るとジュッと音をたてる揚げ餅。
たっぷりの大根おろしを箸でほぐすと、辺り一面雪景色に変わる。

豪華な食材や特別な料理じゃないけど
食べ物の名前に「金」「銀」「大黒」を使っておめでたく
ピンク、グリーン、黄金色。自然の色味を活かして少しだけ華やかに。

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えー、遅ればせながら新年おめでとうございます。
あやういお年頃の猫二匹と、なんとか新しい年を迎える事が出来ました。
ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません。
ようやく落ち着いてきたので、ゆっくりブログ開始予定です。

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腹ペコさんには
もうさー新年の挨拶、いっそ春節まで待ったら?
と、ゲラゲラ笑いながら言われる始末。
(私もそれ考えたけど、今年の春節は2月16日なのです。
1月末ならまだしも、ねえ)

12月から不調だったPC周囲の買い替えが終わった途端、
PC本体が壊れるという悲しい事態に。
スマホガラケーに変更したので全てPC頼み

壊れたPCからデータだけでも救出出来ないかとお願いしたけど
結局時間とお金だけかかってダメでした。
普段はこまめにHDに移してるんだけど、今回はたまたまバタバタしてて
これから移すという時に画面真っ暗になったのです。

新しいOSになってずっと使ってたアプリ・ソフトが対応してなくて
新たに別のを探したり、入れ替えたり。
新しいモノが苦手な私はもう涙目。

で、2日後リビングのシーリングライトもパチンと切れた。
週末までの数日を、スタンドの白熱灯で過ごして新規に買い替え。
もう蛍光灯のは見つからなくて仕方なくLEDに。

白熱灯で過ごす間は薄暗くて、まるでロウソクの灯りで暮らしてるみたいで
行灯生活とか悪くないかも、なんて思ったのです。
その後急いで購入したLEDの昼光色に付け替えたら、
明るいんだけど、なんだか居心地の悪い色味なのだ。
あー、失敗。
こんなにいっぺんに色々重ならなかったら
昼光色~電球色まで調節できる機能付シーリングライトにしたのにね。

安いPCなのでコントラストの調整が出来ない機種だったから
補正してもキッチュな色合いというか、脳天気に明るい。
今まで使っていた液晶はすごく良かったんだなあと身に沁みる。

リビングで目にする物もPCで観る物も現実味が薄いというか
これが日常、と脳が認識するまで時間がかかる。

そして、ガスコンロも調子が悪くてメーカーに点検修理の依頼予定。
買い替えだけは免れたい…

そんなこんなでしょぼくれてる私に腹ペコさんは囁く
あと危なそうなのって、洗濯機と掃除機かな?

わー、ヤメテぇ(´;ω;`)

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