塩漬け豚肉と塩漬けキャベツで作るボルシチ|パンプーシュカ添え

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Borscht|Ukrainian and Russian Beetroot stew a la madhu



Borscht a la madhu|うちのボルシチ
家で作るボルシチは具材を大きめにして3日ほどかけて食べ尽くします。
「本場では具材は小さく切るものよ」
と、ロシア料理好きの知人に叱られたけど
色々試すうちに好みが明確になって出来上がった「うちの味」。
madhu風ボルシチってことで味わってもらってるのです。

地域ごと、家ごとに何通りもあると言われるボルシチレシピ。
中にはもしかしたら、大きな具材で煮込む家もあるかもしれない。
そんな想像も楽しいじゃないですか。

ボルシチウクライナ発祥と言われてる。
電気の無い時代、庶民は具沢山のスープを明るいうちに食べて
夜は軽く済ませていたらしく、労働の合間の食事の用意は大急ぎ。
なのですぐに火が通る様に具材を小さく刻んでいたよう。
ハンガリーのグヤーシュみたいに屋外で作っていたかもしれないね。

ロシア、ポーランド黒海を挟んでトルコなど
たくさんの国に隣接していてハンガリーもその一つ。
地図が塗り替えられるたびに住民は搾取される。
そんな貧しさの中で、安価な部位である脂身を
旨味の増す塩漬けにしたり、沿岸部では魚を利用したり、
保存性と栄養価を高めた塩漬けキャベツにして使ったりと
美味しく食べる工夫を凝らしたものだったと想像します。

だから、もし家で夜ゆっくり食べるボルシチを仕込んでいたなら
きっと大きめにカットしてたと思うの。
大きな具は寒い季節も冷めにくく、温め直すほどに味わいが増していく。
三日目にはジャガイモの中まで紅く染まっていて、本当に美味しい。
だから私の中では具沢山で完全食の煮込みシチューやおでんに近いかも。

味のベースに牛赤身と豚バラ肉を使うのは、色々作ってみて
一番好みだったから。もちろん鶏でもラムでも美味。

そして紅い色も楽しみたいから、澄んだ
スープにしたい。
最初に紅いスープを味わって、後半からサワークリームを溶かして
ピンクに染まったクリーミーなスープを堪能。

うちの常連客、腹ペコさんは最初から全部混ぜてピンクにしてます。
サワークリームもダブル乗せ!とか大量に。そしておかわり。
ええ、あの方 そういう人ですからね。
皆さんの予想を裏切らない行動(笑)

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大雑把な作り方|
味の決め手は塩漬け豚脂と牛赤身スープと熟成キャベツの塩漬け。

サーロсало|Saloと呼ばれるウクライナの塩漬け豚脂の代わりに
豚バラ肉の塩漬け・パンチェッタを塩抜きせずにそのまま使う。
真っ白な脂肪が多くを占める豚バラ肉を選び、二ヶ月間塩漬けに。
身が締まり軽くなった脂身の表面をさっと焼いて脂を溶かし、
牛赤身ブロックで取ったスープと共に味のベースとして使う。

キャベツから出る水分と塩とスパイスのみで半年以上漬けた
酸味のある熟成ザワークラウトを、旨みのある漬け汁と共にたっぷり。
ホールスパイスも塩もこれで調整。
ザワークラウトには黒粒コショウ+キャラウェイ種+セロリ種+
フェンネル種+コリアンダー種+唐辛子+ローリエ粉などを適当に使っています。
酸味が足りなければ仕上げのビーツを加える際、ワインビネガーを追加)


野菜類はビーツ、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、
自家製トマトペーストを基本に、セロリの株元・キャベツの芯・
ディル・フェンネル・パセリの茎・パプリカ・ズッキーニ・
キドニービーンズ・ひよこ豆・エリンギ・マッシュルームといった
その時にある半端野菜を鍋に加えます。

スープとビーツの準備|

ビーツを皮付きのまま茹でるか蒸す。
後で加熱するので普段よりも固めの仕上げ。
*うちでは直径6cmほどの小さなビーツで15分ほど。触れるくらいまで鍋のまま冷ます。

牛赤身ブロック+ローリエ+粒黒コショウ+水を圧力鍋で加熱しスープを取る。
(塩漬け豚肉が無ければ豚バラ肉ブロックのスープを取って加える)
肉とスープは別に分けて冷蔵庫で冷やしておく。
*肉は食べる前にカットしてスープに入れて温める。
(豚バラ肉ブロックの場合はスープに浮いた脂肪を
スプーンでさっくり取る。←野菜の炒め油に使う)

温めた鍋に好きなサイズに切った塩漬け豚肉を入れて
弱火でじわじわ脂を溶かす。脂が滲んだら引き上げ。
そこにカットした野菜を加えて表面にさっと火を通す。
*ビーツだけはボルシチの仕上げ時に肉と共に加えるので炒めない。

牛赤身スープ+水+炒めた野菜+キャベツの塩漬け・漬け汁+
先程のカットした塩漬け豚肉を加えて沸騰したら
中弱火で15~20分ほど煮込みフタをして一旦火を止める。
冷めたらまた温めるを繰り返して野菜にゆっくりと火を通す。
(保温調理鍋があれば簡単)
*キャベツの塩漬けは市販のザワークラウト+お好みのスパイスを追加で。

食べる分量を小鍋に取り、皮をむきカットしたビーツ+牛肉
を加えてグツグツ煮立たせないよう中弱火で5分~10分程度温める。
煮込みすぎるとビーツの色が抜けてしまうので短時間で。

器に盛り、サワークリームとディルを乗せて出来上がり。
ディルの代わりに鉢植えのフェンネルやチャービル、イタリアンパセリも。

二日目以降は旨みの増したスープに茹で卵やカリフラワーなんかを
トッピングで足すと更に楽しめます。

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で、ボルシチのお供には、丸くて可愛らしいパンプーシュカ。
こちらはサラダと一緒に次の記事で。

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Pampushki|Ukraininan baked rolls

 

 

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