月の光と彼女の願い｜Sinar bulan dan berharapnya - Queue du Têtard オタマジャクシのしっぽ

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かぐや姫は天人だが月で罪をつくった為
罰としてしばらくの間地上で過ごさねばならなかった
その期間が過ぎたために月へ帰るという

光る竹を切ると出てきた小さな姫
数ヶ月で美しく成長し
５人の求婚者達に難題を与えて退け
帝からの入内も退けた美しい娘、かぐや姫
ある年の八月十五日の夜、月からの使者に迎えられ
月の国へと帰るというストーリー

でもね、地上での滞在期間はおそらく４年弱
たったその間にかぐや姫は人に恋をした

５人の貴公子の求婚に対しては難題を与えて
諦めさせようとしたのに、帝にはそうしなかった

八月十五日が近づくにつれて
物思いに沈み、はらはらと涙を流し
月へ帰るのを嫌がっていた

それは、彼女が帝に好意を抱いていたから

最高位の帝の要請にも会いたがらないかぐや姫を
一目見たいと、狩装束で会いにやってきた帝

たちまち魅了され彼女に夢中になり
手紙を書き和歌をやりとりする

はじめは会うことも拒んでいた帝と
三年も和歌を交わしたのはなぜなのか
かぐや姫が帝の想いを受け入れているように感じる

月からの使者が迎えに来た時も
羽織れば地上での事をすべて忘れてしまうという羽衣を
月の使者が、着せてしまう前に
かぐや姫は歌を書き記して帝に送る

今はとて
天の羽衣着る折ぞ
君をあはれと思ひ出でける

今はお別れと天の羽衣を着るときになってはじめて
あなた様をしみじみ思い出します
と詠んだ歌に彼女の気持ちが表れている

この手紙を読んだ帝はひどく深く悲しみ
何も食べず、ただひたすらに絶望する

会ふことも
なみだに浮かぶわが身には
死なぬ薬もなににかはせむ

もう会うことも無いのだ
こぼれ落ちる涙に浮かんでいるような
わが身にとって、不死の薬が何の役に立つというのか
と、かぐや姫の手紙と不老不死の薬を
一番天に近い場所で焼くようにと申し付けるのです

それは帝が、かぐや姫に対して
「あなた無しで生きる意味など無い」
自分の思いはこれほど深いのだと
伝えたかったんでしょうね

でもね、帝は愚かだなと思うのです
かぐや姫の真意を理解していないの

天人（天女）は長寿で、
人の寿命などはあっという間だという

かぐや姫は月の住人で
その地で何かしらの罪を犯したことから罰として
つかの間、穢れた地上に送られた
だったら、月に帰っても
また、何かの罰で地上に送られるかもしれない

かぐや姫は帝という地位ではなく
和歌を交わして知った、彼の人柄に恋をした

羽衣を着たらここでの出来事は全て忘れてしまうけど
また、地上に送られたら
きっと帝が気づいてくれる…希望を残したい

だからこそ、天人しか口にしてはいけない薬を渡したかった
帝とふたたび会う可能性を一粒の薬に託した
不老不死の薬を飲みさえすれば
二人が出会う可能性は残されていたの

その気持ちを汲み取れない
帝の短慮が、とても悲しい

自分だけが、置き去りで
自分だけが、愛していて
自分だけが、悲しいと思い込んで
自暴自棄になる帝

彼女の愛に気づかない帝が愚かなのか
そんな短慮な人間を愛してしまった天女が愚かなのか

月に帰ったら物語はおしまい…ではなかったのですよ